『好き』は本能的に何かを殺す
あなたは好きな人、誰かと共有できます?
初っ端からなんかよくわかんないけど臭くてすみません。それはさて置きみなさんはヲタクの同担拒否という文化をご存知でしょうか。
同担拒否(どうたんきょひ) とは
「同じキャラクターが好きな人とは絡みたくない」という意味の同人用語・スラング。元々はジャニヲタ用語。
(ピクシブ百科事典より)
へー、やっぱジャニヲタすごいですね。担当って入ってる時点でそんな気はしてましたけどめちゃめちゃ自分たちの界隈の言葉浸透させるじゃないですか。まあジャニヲタの伝播力の強さ一切今回の話に関係無いですけど。
ジャニヲタ発祥のこちらは今では色んなジャンルのヲタクが使う言葉となっていまして、一定数そういう考え方のひとたちが存在しているという証明と同時に『推しとヲタク』という特殊な文化故に侮蔑や批判の対象と成り得ることも多いように感じます。
わたしがこのエントリーを書こうと思ったのは同担拒否に近いもの*1を抱えている友人のツイートを見たのと、匂わせ*2に関する是非のツイートを見かけたからです。
まずは今わたしがいる界隈について少しお話ししたいと思います。
世の中には色んなジャンルのヲタクが居りまして、その中でも歌い手さんが好きなヲタクのことを『歌い手厨』と呼びます。わたしはいわゆる歌い手厨の方達の界隈にtwitterのメイン垢*3を持っていて、わたしの推しや繋がっている子の推しは大体中堅下部〜底辺上部辺りかなと思います。定義をよく知らないので厳密にはわからないですけど。もっと具体的に数を出すのであれば10人以下の演者(奏者除く)でキャパ300のライブハウスを埋める程度、ワンマン(ゲスト2〜3名)ならキャパ100くらいといった感じです。逆に分かりにくいな。
つまりジャニーズやトップランカーの歌い手さんと比較すると、推しとの距離感がめちゃくちゃ近い上にヲタクの集まりはかなり密接かつ小規模であるということになります。
推しとの距離が近いことはヲタクにとってはかなり嬉しいことなのですが、それはやはりプラスの面だけであるとは言えずヲタク同士の軋轢を生む原因ともなりかねません。っていうかヲタクが推し以外のことで争うなんてほとんど無いんですけどね。諸刃の剣ってやつですか?知らんけど。
『推しとヲタク』という関係はそもそも非常に特殊だと思っています。 “好き” という感情が根底にあるとして、それをあえて分類するのであれば友愛というよりは性愛に近く*4、尚且つ一方的な部分からは家族愛との共通項も感じられ、まさに推し愛と篩い分けるのが正しいように感じます。
ここからは女ヲタク(男推し)特有かつわたしの偏見に塗れた話になってくるかもしれませんが、ご了承ください。
わたしは基本的に “好き” という気持ちはニュートラルであり、それが各々相手に沿っていったものへと発展していくものだと考えています。分かりやすく言うと、イーブイがなんか色々なポケモンに進化するのと一緒です。イーブイがブラッキーに進化する可能性と同時にエーフィやその他諸々に進化する可能性を持ち合わせていて “その進化形態のどれにも異常性を持たない” ように、好きという気持ちは時と場合によって友愛や性愛など “常識的や一般的であるといったことを抜きにして” 色々なベクトルへと進んでいくといったイメージです*5。これ以上分かりやすい説明が分からないので、ポケモン知らない方はググってください…。
この考え方からいくと、ヲタクが推しに抱く “好き” という感情も元来ニュートラルでありその後の発展についてはどの道を歩もうとも一概におかしいとは言えないことになります。
先程説明したように『ヲタクと推し』という一方的でちょっと不思議な関係において、わたしたちは “好き“ を恋愛としてでも友人としてでも家族としてでもないものとして落とし込もうとします。但しこれは(推しが異性なら尚更)その熱量的に恋愛感情に非常に近くなります。
再三同じ話して、回りくどいんだよ何のこっちゃって感じですよね。でもこれがヲタクの同担拒否・匂わせ行為の根源だと思うんです。
つまり同担拒否や匂わせは、対象に性愛を抱き周りの排除に徹したりその排除から身を守る本能的行為に他ならないのではということです。
一度対象を推しではなく、恋愛感情で好きな人だということにしましょう。もしあなたが好きなひとにアプローチをかけて、反応が返ってきたら嬉しいですよね。しかもあなただけにこんな反応をしているんだよ、なんて言われたら尚更舞い上がってしまうと思います。でも相手は他の子からも非常に人気だとしたら?基本的には周りの子に牽制をかけると思います。君の好きな相手はわたしにこんな気があるってよ!とそれとなく伝えてみたり。同じ人を好きになってしまった苦しみ、盗られてしまうかもといった不安感などから仲良くできないことも少なからずあると思います。
それと全く一緒です。
最近活動者の方々は「僕は君の彼氏じゃない」とか「ガチ恋やめろ」って言いますけど、じゃあ色恋営業もどきとかヲタク抱くのやめろって感じですよね。いくらこちら側でこの “好き” が一方的だと理解していても結局は恋愛感情などと根っこが一緒な訳ですからどこかで見返りを求めてしまうものだと思います。しかも無意識のうちに恋(に近い状況に)させられている。つまりヲタクが批判されると分かっていようとも、同担拒否や匂わせ行為に走ってしまうのは恋愛感情に近いものを抱きつつもその対象が広範的に愛されていて恋愛感情として許されないことにあるのではないでしょうか。
ここまで書いたんですけど、結論はヲタクしんどいね!ってだけです。
一方的な狂おしい程の “好き” の熱量はじわじわと自分自身を蝕み、飲み込んでいきます。そして制御しきれなくなっていった頃に周りとの関係性や、遂には推しまでもを殺していくのです。頭おかしいんすよ、ヲタクって。
願わくは心が平和な生活を。
それでは、さよなら。